請負契約の形式をとるものの、その実態が請負としての要件を満たさないもの。製造現場であると否とにかかわらず、業務を委託した請負会社の従業員が委託元である発注会社の従業員と同一事業所内で作業に従事すること(事業所内請負、構内請負ともいう)は珍しくない。しかし、請負会社の従業員が発注会社の指揮命令を受けている場合には、請負ではなく、労働者派遣法に定める派遣に該当することになる(→「告示37号」)。このような派遣は、派遣法には違反するが、請負会社(派遣元)との間に雇用関係が存在する限り、発注会社(派遣先)との間に雇用関係が二重に成立することはない、との考え方を判例(2009年12月の最高裁判決)は採用している。ただ、12年の派遣法改正では、こうした偽装請負についても、違法派遣として、派遣先が労働契約を申し込んだものとみなすこととされており(15年10月の施行を予定)、このような規制強化が雇用にマイナスの影響を与えることが懸念されている(→「直接雇用のみなし規定」)。