広州、深セン、珠海、スワトー(汕頭)、東莞、順徳、仏山などの主要都市を抱える珠江デルタに形成された自動車産業クラスター(集積エリア)。とくに、広州市では、日本3社と韓国1社の自動車メーカーが進出、これを中心にして、部品、素材メーカー、さらにサービス業、流通業などの周辺産業と、相乗的に集積が進む。2000億円を投じての空港拡張、港湾事業では日本郵船・商船三井が合弁で中国最大の自動車積み出しのための港湾施設建設を決定するなど、インフラ整備も加速している。交通網も、広州市の中心から大学学園都市を経由し、トヨタとその関連企業が集積する南沙までを結ぶ地下鉄4号線のように整備も進み、こうしたインフラ整備が、珠江デルタのうち広州を含む西側の発展を促進する状況にある。また、中国が2004年から導入した自動車産業発展政策では、研究開発投資への優遇税制適用をうたっており、国内市場のニーズにあった車両開発の必要性と併せて、外資系メーカーの研究開発拠点設置の動きも出始めた。06年3月には、日産自動車が東風日産乗用車技術中心を設立している。広東省は第11次5カ年計画では10大事業を重点的に進め、そのうち自動車産業に関しては10年までに広州の自動車生産能力を100万台に増強する計画。