EL(エレクトロ・ルミネッセンス)は材料が電気的刺激に反応して発光する現象。有機ELディスプレーは、炭素が結合した有機化合物をガラス基板に塗布して映像を表示する装置であり、消費電力が小さく、高精細映像、薄型、軽量で、形状自由度が高く、表示速度が速いなどの特性により、携帯デジタル音楽プレーヤー、携帯電話、PDA(携帯情報端末)、デジタルカメラ、カーナビゲーション、薄型表示装置や照明向けの需要が有望視される。有機EL素子の基本特許は、アメリカのイーストマン・コダック社が保有しているが、世界で約100社が参入し、発光寿命やフルカラー表示、大画面化などの課題を克服し、量産化にしのぎを削っている。実用性で日本が世界をリードする先端技術であり、次世代の薄型テレビに期待される有機ELテレビの商品化では、ソニーが世界初の厚さ3ミリ、画面サイズ11型を2007年12月に発売(10年国内販売終了)。31型の試作品も発表されているが、液晶やプラズマに比べて高コストの課題もあり、三星(サムスン)電子やLG電子など韓国メーカーと開発競争が激化している。硫化亜鉛マンガンなどの無機物を素子材料に用いた無機ELディスプレーも、カラー表示が難しい半面、単純な構造で製造コストを低く抑えられ、大画面化が容易な優位性が注目され、開発・商品化が進められている。