充電によって繰り返し使用できる小型二次電池の主力製品。正極の活物質にコバルト酸リチウムやニッケル酸リチウムなどを用いる。ニッケルカドミウム電池(ニッカド電池)に続いて、1989年に開発、90年に商品化されたニッケル水素電池を上回る軽量、高電圧、大容量の性能を持っている。携帯デジタル音楽プレーヤー、携帯電話、ノートパソコン、カメラ一体型VTRなど、ポータブル電子機器の電源として需要が急増しており、ハイブリッド車や電気自動車の車載用も注目されている。90年に開発され、91年にソニーが量産化で先行した。93年から他社も加わり、97年までに三洋電機、パナソニックなど12社が参入している。半導体、LCD(液晶ディスプレー)とともに、マルチメディア時代のキーデバイス(基幹電子部品)として戦略商品に位置づけられ、各社の生産設備増強に拍車がかかっている。経済産業省「機械統計」では、2010年の国内生産量は12億個、2775億円。日本経済新聞社の推計では、三洋、ソニー、パナソニックの3社で世界市場の6~7割を占めるが、低価格を武器にサムスンSDI、LG化学などの韓国メーカーの参入もあり、競争が激化。06年8月以降、ソニー、三洋、NECトーキン、パナソニック(当時、松下電池工業)の製品に絶縁シートの不具合から異常発熱する問題が相次ぎ、07年10月に成立した改正電気用品安全法(→「電気用品安全法」)では、製造業者に国の安全基準に合った自主検査が義務付けられた。電解質に固体(ゲル状ポリマー)を用いてシート状、フィルム状にした究極の薄型電池、リチウムポリマー二次電池も1999年から量産化が始まっている。