飛行機(固定翼)やヘリコプター(回転翼)など、航空機の設計・開発、生産、販売、部品補給(補修)に携わる産業。飛翔体に関係することから、宇宙産業と一体的に航空宇宙産業として扱われる場合もある。技術波及効果の大きい戦略産業に位置づけられ、三菱重工業、川崎重工業、富士重工業、IHI(旧石川島播磨重工業)などの伝統的企業のほか、近年では本田技研工業、トヨタ自動車なども参入に意欲を示している。冷戦終結後の需要構造の変化により業界再編が進み、アメリカでは、ボーイング、ロッキード・マーチン、レイセオンの3大グループに集約され、ヨーロッパでは2000年にフランス、ドイツ、スペインの企業が合併してEADS(European Aeronautic Defence and Space)が誕生している。EADS傘下のエアバスが500席以上の超大型旅客機として開発したA380は、生産の遅れから07年に就航が延びた。他方、ボーイングでは、燃費効率を向上させた250席級の次世代中型機B787ドリームライナーを製造中で、07年7月には第1号機が完成している。日本では、YS11以来の国産旅客機製造計画として、03年から三菱重工業が70~90席級小型双発ジェット機MRJ(Mitsubishi Regional Jet)の開発に取り組み、08年3月に事業化を決定。中国では70席級の国産旅客機ARJ21が、ロシアでは航空機メーカーのスホイが開発した78~98席級新型機のスホイ・スーパージェット100(SSJ-100)の開発が進められている。リージョナルジェットと呼ばれる100席以下の小型機市場では、カナダのボンバルディアとブラジルのエンブラエルが勢力を伸ばしており、競合激化が見込まれる。