1970年1月に就航した、アメリカのボーイングのジャンボ機(B747、約400席)が、超大型航空機市場を独占してきたのに対抗して、ヨーロッパのエアバスが開発した世界最大のスーパージャンボ機(→「航空機産業」)。2000年12月に着手し、EUが低利融資の形で約3割を補助した開発費122億ユーロを投じて、05年4月に試験飛行した。商業運航の第1号機は生産計画の支障で07年10月にずれ込んだが、シンガポール航空のシンガポール~シドニー路線で就航。総2階建てで、最大853席を収容可能。1万4800キロの航続距離をマッハ0.89で飛行する。貨物仕様のA380Fは3階建てで、150トンの貨物を積載可能。航続距離は1万400キロ。1機当たりの価格は2億8000万ドル。今後20年間に1500機以上の需要を見込むが、納期遅れによる解約や補償金要求の問題も抱える。一方、ボーイングは、超大型機市場よりも航続距離と直行便の便数増加を重視した需要予測に立ち、中型長距離の次世代機B787ドリームライナーを開発中。機体軽量化のため、重量の50%に炭素繊維複合材(→「炭素繊維」)を採用し、機体製造の35%を三菱重工業、川崎重工業、富士重工業の日本3社が担当している。基本型のB787-8は、収容210~250席、航続距離1万4800~1万5700キロ。B787の受注好調に刺激され、06年12月にはエアバスも対抗機A350XWB(収容270~350席、航続距離1万5400~1万5750キロ、13年就航予定)の開発を決めた。