パーソナル・ヘルス・レコード。個人の生涯にわたる健康医療情報を電子的に記録・管理・統合・共有する社会基盤。経済産業省商務情報政策局医療・福祉機器産業室の「日本版PHRを活用した新たな健康サービス研究会」報告書(2008年3月)では、「個人が自らの生活の質(QOL=Quality of Life)の維持や向上を目的として、自らの健康に関する情報を収集・保存・活用する仕組み」と狭義に定義されている。概念的にはEHR(Electronic Health Record)と共通するが、Web2.0の恩恵で患者や個人の利用環境が強化される。欧米先進国では健康医療分野のIT化推進により、健康増進・疾病予防の日常化、医療の質と安全性の向上、連携医療の促進、医療費の効率化などを目指して地域的、国家的な取り組みが進められているが、日本では医療機関における電子カルテの普及にも手間取り、周回遅れの状況にある。医療記録・情報の標準化や個人情報保護など課題も多いが、アメリカではマイクロソフトのMicrosoft HealthVaultが、個人の医療情報管理サービスを提供するビジネス・モデルで先行し注目されている。