国土交通省が2009年3月23日に発表した09年1月1日時点の公示地価は、全国平均(全用途平均)で前年比3.5%下落(前年1.7%の上昇)と3年ぶりに下落に転じた。用途別にみると全国平均で住宅地は3.2%の下落(同1.3%上昇)、商業地は4.7%下落(同3.8%上昇)である。下落幅は前年まで上昇傾向が強かった大都市圏が大きく、三大都市圏の住宅地は3.5%の下落(同4.3%上昇)、商業地は5.4%の下落(同10.4%上昇)となった。08年に広がった金融危機およびそれに伴う景気の大幅な後退の影響により、不動産市場への資金の流入が大幅に減少したためである。投資ファンドを通じた不動産取引量は激減しており、地価の下落幅以上に不動産市場の停滞感は大きい。その大きな停滞感は、金融機関からのリファイナンス(債務の借り換え)が難しくなっている私募ファンドや、不動産を保有しきれなくなった企業が不動産を売却することにより、地価の下落幅が増加する形で顕在化する恐れがある。バブル崩壊後の10年間以上に及んだ不動産市場の停滞を救い、活性化させた「証券化を通じた資金の流入」が、金融危機によって急速にしぼみ今後に影を落とした。