不動産市場とは不動産の取引に関する市場全般を言うが、取引の対象が権利かサービスかによって、不動産売買市場、不動産賃貸市場に区分され、または取引対象の用途から住宅市場と商業不動産などの非住宅市場に区分される。不動産売買市場、不動産賃貸市場と金融市場は密接に結びついている。不動産の需要者は、売買市場に参加する(購入)か賃貸市場に参加する(賃借)かを検討するが、前者の場合には資金の調達から金融市場において資金の需要者になり、後者の場合には金融市場において余剰資金の供給者になる。不動産の供給者についても同様に、売買市場に参加する(売却)か賃貸市場に参加する(賃貸)かの選択があり、その選択によって金融市場における行動も異なることになる。不動産市場は2005年ころから大都市の都心地域を中心に活性化したが、08年にサブプライムローンに端を発した未曾有(みぞう)の金融危機は、J-REIT、私募ファンドなどを通じた不動産市場への資金の流入(需要)を激減させ、不動産価格を下落させるとともに、経済の低迷、賃貸床需要の減少からオフィス市場で空室率の上昇と賃料の下落をもたらしている。市場の回復は景気の回復に依存する。