オフィス市場は住宅市場と比べると景気の動向に左右されやすく変動しやすい。住宅の場合、需要の総量自身は景気ではなく、人口、世帯数の変動により変化する要素が強いのに対して、オフィス床需要は景気の変動によって大きく変化するためである。サブプライムローン問題に端を発した金融危機による世界経済の低迷により、2007年ころをピークにしてオフィス床需要は減少しているが、09年の新築ビルの竣工床面積は東京、大阪で増加しており、テナント誘致競争の激化によりオフィス賃料は下落し、空室率が上昇する傾向にある。三大都市(東京、大阪、名古屋)のビジネス地区のオフィス市場の状況を見ると、09年12月の空室率は東京が8.1%(前年4.7%)、大阪が10.3%(前年6.8%)、名古屋が12.6%(前年8.5%)と07年12月を底に急上昇している。平均賃料も07年をピークとして下落しており、東京が1万8978円(前年比15.5%減)、大阪が1万2431円(前年比2.4%減)、名古屋が1万1232円(前年比1.6%減)と、オフィス市場の低迷を示している(賃料は1坪当たりの月額)。