消費不況下でSPAのユニクロ(ファーストリテイリング)が巻き起こした一種の社会現象。圧倒的な低価格によって、年齢や所得階層を超えて幅広く消費者を引きつけるとともに、商品開発や新規店舗のありかた、TVコマーシャルが多くの話題を集め、その価格戦略や商品政策は他業態や他の産業にまで影響を与えた。グローバルパーチェシングの観点から、賃金水準が最も低く安定的な生産が可能な中国の工場に生産を委託し、徹底的な品質管理とともに、POS情報を活用して実需要に対応した生産体制を組む。同時に在庫を圧縮し、買い取った商品を直営店で売り切る仕組みを構築したことで、一過性の価格破壊とは異なる圧倒的な低価格と相対的な高品質、安定的な商品供給が実現された。ユニクロ方式はスーパー各社やアパレルメーカーなどにも大きな影響を与えたが、これは単に生産・消費の低価格品へのシフトを意味するのではない。開発輸入や、大量仕入れ、計画的な仕入れによる低コスト化、物流コストの削減などによって、品質を維持しながら価格を引き下げるという、これまではトレードオフ(二律背反)関係にあるといわれた課題を克服した成果である。