食品や日用品などの生活必需品の買い物場所の減少が進み、顕在化した買物困難地区の社会問題化を表した言葉の一つ。主として経済産業省などが使用しており、多様な環境変化により、日常の買い物が困難な状況に置かれている人々を指す。2014年実施の調査に基づく同省の推計では700万人が該当するとしている。買い物場所の減少は、地域における生活の利便性を低下させることになり、若年者層流出の要因になりやすい。それは、人口の減少と高齢化を促進させ、過疎化の契機になるので、結果として公共交通機関の縮小に繋がり、地域が生活しやすい便利な場所として復活することを困難にする。買物困難地区における生活利便性の低下に関する用語には、このほか、買い物難民、食料品アクセス問題、フードデザート問題などがある。いずれも、問題とする視点は異なるものの、同義語と理解できる。ちなみに、食料品アクセス問題は、主として農林水産省が食料品(生鮮食料品)小売業までの徒歩でのアクセスが困難である人口割合を示したもので、850万人と推計されている。フードデザート問題は、1970~90年代半ばのイギリスで、郊外部に大型食品スーパーが成長する一方、既存食料品店の廃業等で生鮮品の購入が困難になり、その結果、生鮮品の摂取が少ないことから低栄養状態になり介護需要の増加などの社会問題を生んだ現象を指す。