商品に品質、社会的評価その他の特性があり、その特性とその商品の地理的原産地が結びついている場合に、その原産地を特定する表示。ワインの「ボルドー(フランス)」、ブランデーの「コニャック(フランス)」、ハムの「パルマ(イタリア)」、チーズの「エメンタール(スイス)」は、代表的な地理的表示である。地理的表示は、条約や法令により、知的財産権の一つとして保護の対象となる。世界貿易機関(WTO)の「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」(TRIPS協定〈トリップス協定〉)では、地理的表示について一般的な保護の義務を定めるとともに(同協定第22条)、ぶどう酒および蒸留酒については追加的な保護を定めている(同協定第23条)。TRIPS協定加盟国である日本は、「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」に基づく「地理的表示に関する表示基準」により、ぶどう酒および蒸留酒の保護を図っている。また、2014年6月に成立した「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(地理的表示法)」により、他の産品についての地理的表示も保護対象となっている(2015年6月施行)。このほか、地域ブランドを保護する制度に地域団体商標制度などがある。