立法権が行政権や司法権に優越していた19世紀の立法国家に対して、行政部の優位が確立した20世紀の国家の一つの特徴を指す言葉(→「三権分立」)。立法国家は夜警国家ともよばれ、国家の機能は治安と国防に限られていた。20世紀に入って行政国家は福祉国家へと変貌し、国家の機能は国民の多様な要望にこたえて国民生活のあらゆる領域に広がっていく。そのため政治における専門技能の重要性が高まり、行政面ではいわばアマチュアである政治家の運営する立法部の政治を圧倒していく。たとえば、法案は立法部ではなくほとんど常に行政部で立案され、また政策執行の過程では行政部の自由裁量の範囲が広くなる。執行の細目を行政部にゆだねる委任立法(delegated legislation)や、行政部の規則や命令で立法を補充することも普通になった。こうして社会の利害対立の調整という政治の基本的役割は、もっぱら行政部が果たすことになった。