官僚が主導する政治を脱却して、政権を取った政党が主導する政治を指す。官僚を抜きにした政治のことではない。官僚制はどの国の政府にとっても、重要で不可欠な行政の手段である。本来ならば、政治(政策についての審議と決定)は内閣と議会の仕事であり、その決定を執行するのが行政の仕事である。しかし明治以来の日本では、行政が政治を行い、政党政治の登場とともに社会の意向が政党を通じて政治に反映されるようになっても、政党は政権の利益の分け前にあずかろうとする「私党」でしかなかった。戦後の1955年体制においても、大臣は各省の代理人となり(→「査定大臣」)、自民党政調会のいわゆる族議員と連携して、政治は官庁の主導で行われた。閣議の議事は、あらかじめ前日の事務次官会議で決定され、強い個性と意志のある首相の下で、時たま首相の意向が通るという状態であった。2009年に成立した鳩山由紀夫内閣は、このような旧来の惰性から脱却しようとしている。