英米型の二大政党制や、独仏伊などの二大プラスいくつかの小政党政党制に対して、オランダの政治学者アーレンド・レイプハルトが提唱した民主主義の型。二大政党制が小選挙区制と単一政党政権に対応するのに対して、多極共存型は比例代表選挙制による連立内閣、二大政党制の強い執行権に対する強い議会、少数集団の事実上の拒否権を常態としている。オランダやベルギーの社会は宗教や言語の違いで分裂しており、特定集団が政権を独占すれば社会の分断状態を永続化させる恐れがあるから、各集団の自立性と拒否権を尊重して、いわゆる「敗者を出さない」政治体制を生みだした。二大政党制が有権者をしらけさせ(→「ダウンズの法則」)、投票率の低下を招いているのに対して、多極共存型の政治においては投票率は高く、また女性の政治進出が目立つ。北欧の小国が1930年代に国際政治の権力抗争から「おりた」こととも関連しているようである。