2010年7月の参議院選挙で与党民主党が参院での多数を失い、再び「ねじれ国会」状態になった。先の自由民主党政権下でのねじれ国会は、来るべき衆議院選挙で民主党が勝つという見通しがあったために、正常な状態ではないというのが世論の判断であったようである。事実、09年8月の衆院選で政権交代が実現し、民主党が衆参両院で多数をとることになり、正常な状態に帰ったと意識されたものである。しかし、ねじれ国会はそもそも異常なのか、ねじれは逆に正常な現象ではないかを問うべきではないであろうか。現在の衆参両院はよく似た選挙制度で選出されており、当然によく似た選挙結果が出ている。よく似た結果が出るなら参院は無用なのか。今回のねじれは、民主党政権に対する幻滅から世論の激しい変動の結果として生じているが、そのような変動を反映するものとしてのみ、参院は有用なのか。10年11月、東京高裁が7月の参院選(選挙区)は一票の平等に反しているとして違憲の判断を下した(同じ日の別の訴訟では合憲と判断されているが)。この判決を受けて、参院の選挙制度改革が行われるとすれば、ねじれは異常なのかどうかが、いよいよ本格的に国民的な論議にかけられるであろう。