明治憲法では帝国議会(衆議院と貴族院で構成)は、天皇の立法権行使の協賛機関だったが、日本国憲法では、国会は「国権の最高機関」で、「国の唯一の立法機関」とされている。「国権の最高機関」の意味については、三権(立法、行政、司法)はチェック・アンド・バランスの関係で対等だから、最高機関は単に「政治的美称」に過ぎないとする説が多数で、政府もこの立場をとっている。しかしこの説は、統治の仕組みを三権相互の関係を中心に見ていて、三権のうち唯一国民から直接選挙される国民代表機関である国会の役割を過小評価しているという批判がある。実際政権の行方を決めるなど国政上の最も重要な機能は国会が遂行しており、憲法改正を国民に発議する権限も国会だけのものであり、三権のいずれに属するか明確でないものは国会が処理するのが適当と考えられていることなどから、最近は国会は三権の調整を図る最高の責任機関の地位にあるとする総合調整機能説も有力である。「国の唯一の立法機関」は、法律を制定できるのは国会だけであることと、制定には国会以外の機関は関与せず、国会の行為だけで完結的であること(ただし法案提出権は内閣も持つと解されている)を意味する。