投票日に所定の投票所で投票できない事由がある場合、一定の条件のもとで投票日の前に、また登録されている選挙人名簿の属する市町村以外の市町村で投票することができる制度。対象者の範囲は公職選挙法第49条によって決められているが、1997年の公職選挙法改正によって、不在者投票事由が緩和され、基本的には従来の条件を尊重しながらも、買い物やレジャーなどの私用であっても、投票区の区域外にいる場合、不在者投票が認められることになった。また、この公職選挙法改正によって、従来午前8時30分から午後5時までであった不在者投票の時間が3時間延長されて、午後8時までになり、2003年の衆院選での不在者投票者数は669万802人(小選挙区選挙)で、投票者総数中の10.9%にのぼり、総選挙で過去最高となった。なお、身体に重度の障害がある有権者は、郵便による不在者投票制により、現在居住する場所において投票用紙に投票の記載をし、郵送する方法により在宅投票することができる。また、第156国会(03年)で成立した公職選挙法改正は、介護保険の被保険者証に要介護5として記載されている者にも在宅投票を認め、さらに、不在者投票について、投票期間を、公示または告示の日の翌日から選挙期日の前日までに改めるとともに、期日前投票制度を導入した。