2017年10月10日公示、22日投票で第48回衆議院議員総選挙が実施された。安倍晋三首相は、少子高齢化と北朝鮮の脅威という二つの国難を突破するためとして9月28日に衆議院を解散した。公示日には、小選挙区289議席に対し936人、比例区176議席に対し11の政党・団体の855人(うち重複立候補者611人)の計1180人が立候補を届け出た。解散がこの時期となったのは、野党の体制が整わないうちに解散を行い、政権を安定させる狙いがあったとされる。野党第1党の民進党は、9月に就任した前原誠司代表が共産党との共闘見直しを掲げるなど、野党間の亀裂が深まっていた。また、注目政治家としてメディアに盛んに取り上げられていた小池百合子東京都知事は、自身の政党・都民ファーストを7月の都議会選挙で圧勝させていたが、国政進出の準備は整っていなかった。解散直前には都知事が希望の党を立ち上げ、これに民進党が合流する方針が発表され、マスメディアの注目を一時集めた。しかし、都知事が全ての民進党議員を希望の党に受け入れるわけではないと言明すると、これに反発する枝野幸男ら少数の民進党議員が立憲民主党を設立し、メディアの注目と有権者の支持はこちらに傾いた。政府の経済運営、憲法改正、森友学園・加計学園をめぐる一連の問題など、さまざまな争点がメディアで提示されたが、小競り合いを繰り広げる野党側は明確な対立軸を打ち出せず、全体としては安倍政権への信任を問う選挙戦となった。立憲民主党は希望の党に合流した民進党候補に対し対抗馬を擁立しない方針を示したが、希望の党は立憲民主党の候補に対して対抗馬を立て、過半数を超える198の小選挙区で公認候補が出馬することとなった。共産党は立憲民主党が候補を立てる多くの選挙区で候補を取り下げ、希望の党の候補が出馬する選挙区では積極的に候補を擁立した。投開票の結果、追加公認を含め自民党は284議席(前回291)、公明党は34議席(前回35)を獲得し引き続き自公で3分の2の勢力を維持した。立憲民主党は追加公認を含めて55議席を獲得し、50議席を獲得した希望の党を上回り野党第1党となった。共産党は比例票を大きく減らし12議席(前回21)の獲得にとどまった。一方、沖縄と同様に共産党を含む野党が候補を一本化した新潟県、民進党候補の多くが立憲民主党に合流し結果的に野党候補が一本化された北海道などで、野党統一候補が与党系候補を破る例が目立った。投票率は前回より約1.0ポイント上がり、戦後最低の53.70%(小選挙区)であった。期日前投票は速報値で2137万9982人(全有権者の20.10%)であった。