次点落選は集票の面で有利であり、次回選挙で当選しやすいとする説。自民党の前回次点落選候補が多数当選した1986年衆議院議員選挙前後に定着した言葉である。有権者から同情票を集めること、あるいは現職議員に比較して選挙区での集票活動時間が長いことが、次点候補を有利にすると主張される。ただし、この効果に関する学術的な研究はわずかで、専らマスメディアが用いる疑似学術用語の側面が強い。実際に選挙結果を集計してみると、前回次点落選候補の当選率は比較的高い傾向にある。だが、(1)得票の伸びが期待できない候補は不出馬となり、得票の伸びが期待できる候補が出馬する、(2)ある政党の次点落選候補はその党の支持率が低下したときに多数発生し、その党の支持率が回復する次の選挙に多数出馬するという二つの作用がここに働いていることに留意すべきである。また、仮に前回次点候補の得票が伸びていたとしても、有権者の同情や候補の活動時間でなく、有権者の戦略的投票で説明できるとする議論もある。