一般には小選挙区制が二大政党制を促すとして知られた経験則。モーリス・デュヴェルジェが第二次世界大戦直後に唱えた説が定着し、法則と呼ばれるようになった。ただし、小選挙区制を導入している国において、第三政党が台頭し二大政党制が崩れる、地域政党が一定の地位を占める、一党優位政党制が存続するなど法則に従わない例が数多く生じ、アメリカの二大政党制のような法則通りの例はむしろ珍しいと認識されるようになった。現状では、一つの小選挙区の有力候補は二人以下に絞られやすく、そのため小選挙区制では全国レベルの政党の数が少数に絞られる、と緩く理解するのが適切である。この法則は、主に日本の衆議院の中選挙区制の研究を基に、定数Mの単記非移譲式投票の選挙区では有力候補がM+1人に絞られやすいというM+1法則へと拡張されている。小選挙区比例代表並立制のような混合選挙制度の小選挙区制部分では、他制度の影響により法則の働きは弱まる。