鳩山由紀夫政権に参加した国民新党の亀井静香郵政改革担当大臣が、郵政民営化の見直しに着手した内容。小泉純一郎政権の時の郵政改革は、民営化で郵便貯金(郵貯)と郵便保険(簡保)という巨大な金融事業を見直し、官に集まりすぎていた資金を民間に流れるように変えることを主眼とした。この見直しの手始めに、亀井大臣は、日本郵政グループの持ち株会社である日本郵政の新社長として、「自主的辞任」を促した西川善文社長の後任に、元大蔵省(現財務省)の事務次官の斎藤次郎・東京金融取引所社長を起用した。2009年の総選挙では、民主党は「天下り斡旋(あっせん)の禁止」を公約していたため、官僚OBの起用は新政権の「脱官僚依存」と矛盾するのではないか、という批判を呼んだ。この人事を主導した亀井大臣は、「大蔵次官だったのは10年以上昔の話」とし、総理も「斡旋ではなく選任だから天下りとは言えない」とした。新政権は、日本郵政グループの株式売却を凍結する「郵政株式処分凍結法案」を09年10月30日に閣議決定し、同年12月4日に成立させた。現在の4分社体制の見直しのため、具体的な組織再編のあり方が固まるまで、各社の株式売却を凍結するというもの。また、保養・宿泊施設「かんぽの宿」についても、譲渡・廃止期限を定めていたことが、売り急ぎや不透明な売却手続きにつながった、との批判を呼んでいたことから、譲渡・廃止を当面停止した。(→「郵政事業の民営化」)