日本郵政グループの民営化路線を見直す郵政民営化法改正案は2012年4月27日、参議院本会議で採決・成立した。郵政民営化の見直しは国会で2年近くたなざらしにされていたが、株式売却による復興財源の確保を名目に、民主、自民、公明3党の協議が11年末から本格化し、12年3月末、改正案を国会に共同で提出していた。金融2社(ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険)を17年9月末までに完全民営化するとしていた従来の方針を努力規定に修正し、株式の処分期限も撤廃した。両社に政府が影響力を持ち続ける余地が残り、小泉純一郎元首相が掲げた郵政改革が抜本的に転換される。改正案は、郵便物を配達する郵便事業会社と窓口業務を担う郵便局会社を統合して「日本郵便」とし、グループを現在の5社から4社に再編することも明記し、12年10月1日に統合がなり、社名が日本郵便株式会社に改称された。民主党に政権交代した後に凍結された郵政グループ株式の売却が可能になった。政府は全額出資の持ち株会社「日本郵政」の株式を3分の1超を残して処分でき、売却益は東日本大震災の復興財源に充てられる。