地方交付税の抑制や地方税の伸び悩みの影響もあって、自治体財政の危機的状況が目立つ。この状況は、主に次の財政指標から見て取ることができる。第一は経常収支比率で、地方税などの経常一般財源収入のうち、人件費や借金の元利償還金(公債費)などの経常支出にどれだけ充当されたかを示す。勤労者であれば、年俸のうち生活費やローンの返済などにどれだけ振り向けたかという指標に似ている。この比率が100を超えると、経常収入では経常支出をまかなえず、いつ赤字団体に転落しても不思議ではない。2005年度、全団体平均で91.4を記録した。特に公債費充当分が大幅に上昇した。都道府県92.6、大都市94.3、中核市87.0、特例市89.2、都市90.2、町村88.5と市町村も硬直化が進んだ。
07年6月に「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」が成立した。08年度決算から適用される。いわゆる「新自治体財政再建法」(「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」)である。この法律では、財政健全化は2段階で進めるとしている。第一段階が「財政の早期健全化」で、いわば自主再建である。「イエローカード段階」ともいう。第二段階が「財政再生」で、国の関与のもとに、夕張市のように厳しい再建計画となる。この財政破綻は四つの「健全化判断基準」で定義される。すなわち、(1)実質赤字比率、(2)連結実質赤字比率、(3)実質公債費比率、(4)将来負担比率、である。この四つの健全化判断基準の一つでも、政省令で定める「早期健全化基準」以上の場合は、議会の議決を経て「健全化計画」を作らなければならない。また、上記の比率のうち、(1)から(3)までの指標のいずれかが政省令で定める「財政再生基準」以上の場合は、総務大臣の許可を得て、「財政再生計画」を作らなければならない。(→「赤字団体/黒字団体」)