2011年3月11日の東日本大震災は首都圏通勤者をも直撃した。震災の影響でJRをはじめ鉄道各線が運転を見合わせたこともあり、通勤者はもとより買い物で都心部に出かけていた人たち、推定515万人が帰宅困難となった。これらの人々は会社やホテルなどに宿泊するか、長い距離を徒歩での帰宅を余儀なくされた。徒歩帰宅を始めた人たちの一部は、自治体などの用意した一時避難所で夜を明かすなどの過ごし方もあった。このような事態に直面して東京都は、直下型地震を含めた大規模災害に備えて「東京都帰宅困難者対策条例」を制定した。その概要は、(1)事業者に従業者の一斉帰宅の抑制と従業者の3日分の食糧等の備蓄、(2)駅、集客施設等における利用者保護、学校における児童、生徒等の安全確保、(3)都立施設、都関連施設を一時滞在施設として指定、国・区・市町村・事業者に協力を求め、帰宅困難者受け入れ体制を整備、(4)代替輸送手段、災害時帰宅支援ステーションを確保するなど安全・円滑な帰宅を支援するというもの。2013年4月1日から施行。(→「帰宅困難者対策/防災対策基本条例」)