2013年12月6日、生活保護改正法、生活困窮者自立支援法が衆議院で成立した。生活保護改正法は14年7月、生活困窮者自立支援法は15年4月施行である。日本弁護士連合会(日弁連)も含めて批判が集中しているのは、生活保護申請時も含めた福祉事務所の調査権限の拡大である。これは生活保護申請自体をさせないような、いわゆる「水際作戦」の合法化につながるという懸念も強い。また、家族の解体が進む現実を無視して、三親等内の扶養義務者への照会の通知など、自助努力の強制の方向も強い。14年1月段階で、DV(ドメスティックバイオレンス)で配偶者から逃げてきた女性が、生活保護相談で、配偶者に通知することになると窓口で言われて、申請ができないという事例も生じていると伝えられる。すでに前倒しで、誤った運用が行われているようである。
これと抱き合わせのようになっている「生活困窮者自立支援法」についても、保護申請自体を制限するような運用が行われる可能性が強いと指摘されている。しかし、この生活困窮者自立支援法は、施策としては就労を通じた自立支援を勧めようとした「パーソナルサポート事業」に淵源を持つ施策と考えられる。生活保護の手前の「第二のセーフティーネット」と位置付けられ、この間の釧路市や豊中市など先進自治体の工夫を広げるという意義を持っている。(→「生活自立支援策」)