生活保護からの脱却や貧困の連鎖を断ち切るためには、社会的な支援策の構築こそ進めるべき施策である。2012年4月に社会保障審議会が設置した「生活困窮者の生活支援のあり方に関する特別部会」(宮本太郎部会長)が10回の研究会を経て13年1月にまとめた報告書がもとになっている。特に一般的就労支援、ボランティアなど社会生活自立支援、NPOなどの社会的企業における中間的就労支援、これらと生活保護費支給を柔軟に組み合わせて運用することが要である。このような社会的自立支援施策展開のために、生活保護改正法や生活困窮者自立支援法(ともに13年12月6日成立)を各自治体がどう運用するか注目されている。
いずれにしても15年4月から、福祉事務所設置団体(府県と市、福祉事務所設置町村)は、「自立相談支援センター」を設けることが義務付けられている。費用の4分の3は国庫負担金が付く。これに先立って、13年度からモデル事業が68団体で実施され、14年度はさらに拡大される。
まずすべての福祉事務所設置団体は、自立相談事業を行わなければならない。任意事業としては、就労準備支援事業、一時生活支援事業、家計相談支援事業、学習支援事業、その他必要な包括的事業を行うことができる。任意事業には費用の3分の2以内の補助金がつく。求められているのは、ワンストップで、個人に寄り添い、支援することである。そのためには、担当窓口だけではなく、全庁的な情報と経験の共有、そして相互協力ができることが必須条件である。これによって、各都市の生活保護行政自体を、生活自立支援施策として立て直していくことが求められる。(→「生活保護改正法/生活困窮者自立支援法」)