2004年5月22日、小泉純一郎首相は平壌を訪問し、金正日総書記と会談した。02年9月17日の訪朝以来、国交がないにもかかわらず行った首脳外交であった。04年の訪朝では、02年に帰国が実現した日本人拉致被害者の家族8人の帰国が最大のテーマだった。小泉訪朝によって、この8人のうち5人の帰国が実現した。10人の安否不明者については、北朝鮮は再調査を行うことに同意した。それと同時に小泉首相は、北朝鮮が日朝平壌宣言を順守するかぎり、経済制裁措置を発動しない、また人道的措置として食料援助25万トンと1000万ドル相当の医薬品支援を行うと約束した。帰国の実現しなかった残りの3人は、曽我ひとみさんの夫で元米兵のジェンキンス氏と2人の娘であった。この3人については04年7月、曽我さんとインドネシアでの再会が実現した。さらにジェンキンス氏の医療目的ということで、全員が日本へ帰国した。ジェンキンス氏に対して、アメリカは脱走兵としての訴追をするとの姿勢を崩さなかったが、日本帰国後は、日本国内の病院での事情聴取が行われ、ジェンキンス氏は米軍の司法手続きのため、キャンプ座間の在日米軍司令部に出頭した。