2003年12月19日、政府は安全保障会議と閣議で、BMDシステムの導入を決定した。これは飛来するミサイルを探知し、着弾前に迎撃するもので、北朝鮮からのミサイルへの対処を主な目的にしている。政府は、BMDシステムを「弾道ミサイル攻撃に対して我が国国民の生命・財産を守るための純粋に防御的な、かつ他に代替手段のない唯一の手段であり、専守防衛を旨とする我が国の防衛政策にふさわしいもの」としており、集団的自衛権の行使問題は生じない、との立場を示している。04年12月の「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」を受けて、05年度予算では、(1)イージス艦の能力向上とSM3ミサイルの取得・発射実験、(2)パトリオット・システムの能力向上とPAC3ミサイルの取得、(3)自動警戒管制システムへの弾道ミサイル対処機能付加のための基本設計・製造への移行など、総額約1198億円を計上している。また、「大綱」策定時の官房長官談話で、BMDシステムを日米で共同開発・生産する場合、「厳格な管理を行う前提で武器輸出三原則等によらない」とされた。さらに、04年末に防衛庁と米国防省はミサイル防衛システムに関する包括的協力のための了解覚書(MOU)を交わし、05年2月には、日本政府は短時間で日本に向かって飛来するミサイルを閣議を省いて迎撃できるよう自衛隊法を改正する旨を閣議決定し、7月にはこの改正案が国会を通過して成立した。同年末、将来の能力向上型迎撃ミサイルの日米共同開発も決まった。費用は日本側10億~12億ドル、米側11億~15億ドルの見込みで、15年からの生産開始をめざす。06年8月にSM3搭載可能なイージス巡洋艦シャイローが横須賀に配備された。(→「弾道ミサイル等に対する破壊措置」)