日本に飛来した弾道ミサイル等に対する措置のうち、自衛隊法第82条3に基づく対処。弾道ミサイル等が日本に飛来する場合、それが武力攻撃にあたると認められた場合は自衛隊法第76条に基づき対処する(防衛出動)。一方、武力攻撃事態が認定されていないときには、自衛隊法第82条3(弾道ミサイル等に対する破壊措置)に基づき対処する。すなわち、防衛大臣は、弾道ミサイル等が日本に飛来するおそれがあり、その落下による人命または財産に対する被害を防止するために必要があると認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に対しその破壊を命令する。また、事態が急変し内閣総理大臣の承認を得るいとまがない緊急の場合も、防衛大臣は緊急対処要領(2007年閣議決定)に従って、あらかじめ自衛隊の部隊に対し破壊措置を命令できる。09年3月、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した際に初めてこの規定が適用され、SM-3搭載イージス艦が日本海中部に、ペトリオットPAC-3部隊は東北地方や首都圏に展開された(→「北朝鮮のミサイル発射」)。以後、12年3月および12月、14年3月、6月および7月の北朝鮮による弾道ミサイル発射についてもこの規定に基づいて所要の措置がとられている。(→「弾道ミサイル防衛システム(BMDシステム)」)