2000年代後半から、日本とインドの間では政策対話や共同訓練などの形で、安全保障分野での協力関係が構築されている。08年10月に日印両首脳が署名した「日印安保共同宣言」は、防衛大臣・次官・幕僚の各レベルでの会合・協議や、2国間および多国間の訓練を含む各軍間の交流、教育・研究交流などの促進をうたっていた。09年12月には「行動計画」が策定され、海賊対処や海上における共同訓練の実施など、海洋安全保障における協力を推進するための項目が確認された。
以後、日印間では次官級対話や防衛政策対話、共同訓練(第1回は12年6月)などが進んだ。ほぼ毎年のペースで行われている首脳会談でも、防衛協力がテーマとなっている。とくに13年5月に東京で行われた安倍晋三首相とマンモハン・シン首相との会談では、海上自衛隊とインド海軍間の定期的な訓練や、US-2救難飛行艇に関する2国間協力に向けた合同作業部会の設置が決定された。地政学上の重要性に加えて、日本と基本的な価値を共有する国として安倍政権がインドを重視していることもあり、日印間の防衛協力は年々そのレベルを拡大させるとともに内容を充実させている。