菅直人内閣の重要政策や取り組みを伝える官邸ブログ。報道各社が毎月内閣支持率の調査を行う世の中で、総理大臣にとって、テレビや新聞に対して受身の形で国民に情報を流すのではなく、自分の意図するとおりの形で国民に直接に情報を流す誘惑に駆られることはもっともなことである。インターネット社会においてはそれは決して困難なことではない。そこで、総理大臣はホームページ(首相官邸ホームページ)だけではなく、ブログやツイッターを使って本当の自分を伝達するようになった。2009年9月の政権交代を果たした民主党の最初の総理大臣であった鳩山由紀夫は、支持率が低下したころ、10年1月1日を期して自分のブログ「鳩cafe」とツイッターのアカウントを開設した。鳩山首相は、当面ブログは週1回程度、ツイッターでは1日1回の更新を目指し、寄せられた意見や感想は執務室にある専用のモニターでチェックしていくという。このように歴代首相はメールマガジンやブログ、ツイッターなどを活用してきたが、鳩山から代わった菅直人首相のもとでは、休止状態になり、内閣支持率の低下と並行して発信力の低さが指摘されていた。そこで菅首相は10年11月、重要政策や取り組みを伝える官邸ブログ「KAN―FULL(カンフル) BLOG」を開設した。首相官邸のホームページにリンクさせ、週に1回程度の頻度で更新した。内閣支持率が低下する中、官邸スタッフらは「カンフル剤」としての効果を期待して命名した。開設に当たり、菅首相は、「これまで直接、国民のみなさんに語りかける、あるいは私の言いたいことを伝えるというのが、いわゆるテレビとか新聞はありましたけども、インターネットを使った形の直接の、配信がなかったものですから。ごく、私としては自然体で、その時その時の取り組んでいる課題を、国民のみなさんに伝えたい、そう思っています」(11月16日)とコメントしている。