「新しい公共」円卓会議は2010年6月4日の会合で、「新しい公共」宣言を鳩山由紀夫首相に提出した。この日は鳩山首相の退任の日であった。「新しい公共」というキーワードは鳩山首相退任後、菅直人政権においても引き継がれた。菅首相は10年9月に円卓会議のメンバーと懇談をしている。そして、10月に民主党は政調会に新たに設けた「新しい公共」調査会の初会合を開催した。会長には鳩山前首相が就任した。これと並行して、政府においては玄葉光一郎大臣が「新しい公共」を担当することとなり、同じく10月に「「新しい公共」推進会議」を設置した。会議は、鳩山内閣の円卓会議で座長を務めた金子郁容慶大大学院教授ら学識経験者やNPO関係者20人で構成されている。さらに、11年2月1日には民主党は、常任幹事会で、街づくりや教育分野への市民参加を促す「新しい公共」推進本部の設置を決めた。本部長には鳩山前首相が就任。本部長代理には仙谷由人代表代行、副本部長には松井孝治前官房副長官が就いている。
「新しい公共」宣言の要点(抜粋)
「新しい公共」を実現するには、公共への政府の関わり方、政府と国民の関係のあり方を大胆に見直すことが必要である。政府は、思い切った制度改革や運用方法の見直し等を通じて、これまで政府が独占してきた領域を「新しい公共」に開き、「国民が決める社会」を作る。
・税額控除の導入、認定NPOの「仮認定」とPST(パブリック・サポート・テスト) 基準の見直し、みなし寄付限度額の引き上げ等を可能にする税制改革を速やかに進め、特に、円卓会議における総理からの指示(税額控除の割合、実施時期、税額控除の対象法人)を踏まえて検討を進めることを強く期待する。
・関係各省庁の壁を乗り越え、「特区」などを活用して社会イノベーションを促進する体制を政府一体となって作ること、および、政府、企業、NPO等が協働で社会的活動を担う人材育成と教育の充実を進めることが重要。
・国や自治体等の業務実施にかかわる市民セクター等との関係の再編成について、依存型の補助金や下請け型の業務委託ではなく、新しい発想による民間提案型の業務委託、市民参加型の公共事業等の仕組みを創設することが必要。
・公的年金の投資方針の開示の制度化による社会的責任投資の推進をすることが望まれる。