民主党の鳩山由紀夫首相は、2009年10月の臨時国会において初の所信表明演説を行い、その中で「新しい公共」とは、「人を支えるという役割を、『官』と言われる人たちだけが担うのではなく、教育や子育て、街づくり、防犯や防災、医療や福祉などに地域でかかわっておられる方々一人ひとりにも参加していただき、それを社会全体として応援しようという新しい価値観です」と述べている。鳩山首相はこうした考えのもとに、10年1月27日、「新しい公共」の実現に向け、有識者が具体案を検討する円卓会議の初会合を首相官邸で開いた。首相はあいさつで、「新政権の神髄だ。日本の新しい社会の息吹にしたい」と強調した。円卓会議の座長には金子郁容慶應義塾大学教授が就任。委員には福原義春資生堂名誉会長や市村良三長野県小布施町長ら18人が参加した。会議は月1回程度のペースで開催、現地視察も実施しながら、地域社会の運営にNPOや住民の参加を促すための規制緩和策などを議論することが求められた。円卓会議は、鳩山内閣の最後の日である10年6月4日の会合で「新しい公共」宣言を発表した。