消極的安全保証とは、核兵器国であるアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国が、核兵器を保有していない国、非核兵器国に対して核兵器を使用しないと保証する約束を意味する。核不拡散条約(NPT)の交渉時から、非核兵器国はNSAを求めたが、条約署名時には、核攻撃の被害あるいは威嚇を受けている国には援助をするという積極的安全保証(PSA;positive security assurance)が与えられた。その後1978年に、中国は例外なしの、アメリカ、ロシア、イギリス、フランスは条件付きのNSAを宣言し、95年のNPT再検討会議の際にはこれら4カ国は同一の条件付きのNSAを宣言した。その例外は、非核兵器国が、核兵器国と同盟して攻撃する場合を除外する、というものであった。2010年にアメリカのオバマ政権は新たな核態勢見直しにおいて、「アメリカはNPTの当事国であり、核不拡散義務を順守している非核兵器国には核兵器を使用しない」という強化されたNSAを発表し、イギリスも同様の宣言を行った。これらの宣言はすべて政治的な性質のものであり、非同盟諸国を中心に非核兵器国は、法的拘束力あるNSAを求めている。ちなみに非核兵器地帯条約の場合には、法的拘束力あるNSAが与えられている。