核兵器など大量破壊兵器の運搬手段となる弾道ミサイルの拡散を防止し、抑制するための行動規範を定めた政治的文書。正式名称は、「弾道ミサイルの拡散に立ち向かうためのハーグ行動規範」。ミサイルの輸出管理に関しては、1987年にミサイル技術管理レジーム(MTCR)が作られたが、その後、非参加国や懸念国においてミサイル開発が進み、それを補完する枠組みの必要性が生じた。そこで、2002年11月にオランダのハーグで「弾道ミサイルの拡散に立ち向かうための国際行動規範」が96カ国の参加を得て採択され、採択地にちなんだ呼称となった。HCOCは弾道ミサイルの拡散防止、弾道ミサイルの実験・開発・配備の自制などを定めるものであるが、法的拘束力をもつ条約ではなく、あくまで政治的意思を示す合意文書である。その主な内容は、(1)弾道ミサイルの拡散の防止・抑制、(2)宇宙ロケットを弾道ミサイル計画の隠蔽にすることの禁止、(3)弾道ミサイルの開発・実験・配備の最大限の自制、(4)軍縮・不拡散条約の違反国に対するミサイル開発への支援などの禁止、(5)事前発射通告など信頼醸成措置の実施、である。13年5月には日本が議長国に就任し、非参加国への参加働きかけの強化などを課題として掲げた。14年8月現在、137カ国がHCOCに参加している。