伝統的には領海と内水を除く海洋部分であったが、国連海洋法条約の成立により排他的経済水域(EEZ)と群島水域が除かれた。グロティウスの「自由海論」以後公海自由の原則が適用されて、いかなる国の領有も禁止され、すべての国の自由な利用に開放される。使用自由の内容として国連海洋法条約は、航行・上空飛行・海底電線やパイプライン敷設・人工島等の建設・漁獲・科学調査の六つを例示しているが、これに限定されてはいない。また生物資源保存と海洋汚染防止の観点から、公海における国家の活動がより厳しい制約を受ける傾向が見られる。公海上の船舶では旗国主義により船舶登録国の法律が施行され、海洋環境の保護についても原則として旗国が責任をもつ。2005年に起きた日本のサンマ漁船とジム・アジア号の衝突も公海上であったため、旗国イスラエルの法に従って事故は処理された。また公海上で海賊行為に従事する船舶に対しては普遍主義に基づき、すべての国が拿捕(だほ)など管轄権を行使できる。近年ソマリア沖で多発している海賊被害に対処するため、国連安全保障理事会は制裁を含む取り締まりの強化を加盟国に求める決議を採択した。