公海の海底と地下で、いずれの国の大陸棚とも認定されない地域。ここにはマンガン団塊など、多くの貴重な鉱物資源が多量に埋蔵されていることが判明している。深海底資源については、1967年の国連総会におけるパルド提案から70年の総会宣言の採択を経て、国連海洋法条約によって人類の共同財産(CHM)とする制度が樹立された。深海底はいかなるものによっても占有されることはなく、その資源に対していずれの国も主権や主権的権利を主張・行使できない。深海底資源に対する権利は人類全体に付与され、国際海底機構(ISA)が人類全体のために行動する。ISAは通常の国際機構の機能に加えて、エンタープライズという開発事業体を抱え、自ら開発を行うだけでなく、締約国やその企業に開発認可を与えるパラレル方式が採用される。しかし画期的な深海底制度は先進国に多大な負担を強いることになり、反対を表明する先進国も多く、海洋法条約の発効さえ危ぶまれた。そこで94年国連総会は実施協定を採択して深海底制度の実質的修正をはかり、経費負担の軽減や強制的技術移転の見直しなどにより、同年国連海洋法条約は発効した。