国際連合(国連 UN)の主要な司法機関。所在地はハーグ(オランダ)で、9年の任期で選出される国籍の異なる15人の裁判官で構成される。日本人としては現在、小和田恆・元国連大使が裁判官(2009~11年所長)を務めている。国家間の法律紛争を、当事国間の事前または事後の同意に基づいて国際法に従って裁判し、その判決は当事国を拘束する。ICJにおいて訴訟当事者となりうるのは、国家のみである。ただし、国連総会などの国連関係機関の要請に基づいて、法律問題について勧告的意見を与えることができる。日本は、竹島をめぐる韓国との紛争を平和的に解決するために、1954年9月および62年3月の2回にわたって、ICJに合意付託することを提案したが、いずれも韓国側によって拒否された。最近の竹島をめぐる日韓間の緊張の高まりを背景に、2012年8月、日本は韓国に3度目の合意付託を提案したが、韓国はこの申し入れにも応じない旨、回答した。その後日本は、この件を一方的に提訴する可能性を視野に、準備を進めている。一方、10年5月、オーストラリアは、日本が南極海で行っている捕鯨を国際捕鯨取締条約違反としてICJに提訴した。またその後、ニュージーランドが訴訟参加を要請した。日本は、本件に関するICJの管轄権を否定するとともに、日本の捕鯨は条約で認められている調査目的のものであると主張した。14年3月末には裁判所の判断が下される見込みである。