軍縮・軍備管理・核不拡散は、紛争予防の有効な手段の一つである。国際連合(国連 UN)は、設立以来、軍縮委員会の設置、軍縮決議の採択、2度にわたる軍縮特別総会の招集、国連小型武器会議の開催などの努力を続けてきた。核兵器保有国の増加を防止する目的の1968年の核不拡散条約(NPT)も、国連決議として採択された。また化学兵器の分野では、化学兵器禁止条約(CWC、97年4月発効)のもとに、化学兵器禁止機関(OPCW)が設立され、条約規定の履行監視を行っている。しかし、国連を中心とする軍縮・軍備管理・核不拡散の歩みは必ずしも順調とはいえず、あらゆる核実験の禁止を目的とする包括的核実験禁止条約(CTBT)も、96年9月に総会で採択され署名および批准のために開放されたが、各国の利害が複雑にからまり、発効の見通しは立っていない。また2005年5月のNPT運用検討会議も実質的な合意に至らず、同年9月の国連世界首脳会合成果文書から、核軍縮・核不拡散への言及が削除されるなど、状況は厳しい。09年1月に就任したアメリカのオバマ大統領は、「核なき世界」の実現を呼びかけ、再び核軍縮・核不拡散に向けた動きが顕在化したが、その後はかばかしい進展はみられない。