原子力の軍事利用の禁止と、その平和利用のための研究および開発を奨励し、国際協力を推進することを目的として、1957年に設立された国際機構で、本部はウィーン。日本は設立当初からの加盟国であり、原子力技術先進国として理事国の地位をも占めてきた。2009年より日本人の天野之弥が事務局長を務める。原子力は軍事利用への転用の可能性があることから、国際連合(国連 UN)では安全保障理事会(安保理)との関係が深く、そのため、経済社会理事会のもとの国連の専門機関の地位にはない。原子力の軍事転用を防止するために、イラク、北朝鮮、イランなどの原子力施設の査察を実施してきたが、その報告書の内容に不満のある北朝鮮はIAEAによる査察を拒否した。11年3月11日の東日本大震災の際に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故に関しては、調査団を派遣するとともにさまざまな助言を行い、また、世界の原発の安全性向上を目指す行動計画を採択し、その確実な実行を加盟各国に求める決議を同年9月に採択した。14年2月現在の加盟国は162カ国。