1991年12月、ソウルで行われた第5回南北高位級(首相)会談で合意し、92年2月の第6回高位級会談(平壌)で発効した基本文書。統一問題の解決よりは、分断の平和的管理という性格が強い。要点は以下の通り。(1)南北和解:相手方の体制を認め尊重する。現在の停戦体制を南北間の平和体制に転換させるために努力し、現存の軍事停戦協定を順守する。板門店に「南北連絡事務所」を設置、運営する。(2)南北不可侵:相手方への武力使用および武力侵略を行わない。南北軍事共同委員会を設置し大規模な部隊移動・軍事演習の通報など軍事的信頼醸成、軍縮の実現などを協議する。(3)南北交流・協力:資源の共同開発、経済交流と協力を実施する。離散家族の文通、面会、訪問を実施する。切断された南北鉄道、道路の連結と海空路の開設を行う。(4)修正および発効:合意によって修正、追加が可能。所要の手続きを経て発効する。さらに、92年9月に詳細な付属合意書が採択されたが、その翌年3月、北朝鮮が核不拡散条約(NPT)からの脱退を宣言してから対米協議に傾斜する過程で、「新しい平和保障体系」という構想の下に米朝平和協定を提案したことで、事実上南北間の平和体制樹立を約束したこの文書は次第に形骸化し、南北対話も停滞していった。2000年6月の南北首脳会談の際、金大中大統領は南北基本合意書の再履行を求めたが、そこで発表された「南北共同宣言」にもそれについての言及はなかった。(→「南北首脳会談(2000年)」)