2000年代韓国保守陣営の新たな市民運動の潮流。民主化以後、「経実連(経済正義実践市民連合)」「参与連帯」などに代表されるような、市場民主主義体制下において市民社会のより一層の民主化を求める市民運動が活発化していった。そして、金大中・盧武鉉政権という「進歩」政権を支えた。しかし、そうした「進歩」政権下において、「保守」の側からの批判的な市民運動が「ニューライト」運動として活発に展開されるようになった。2004年結成の「自由主義連帯」、翌年結成の「ニューライト全国連合」などが中心的な存在である。過去の軍事独裁政権を担ってきた保守勢力とは一線を画し、競争原理を重視した新自由主義的な社会経済政策を掲げる。また、「進歩」政権下において、過去史清算(→「過去史法」)の動きが加速化し、韓国の国家としての正統性を否定するような方向に向かうことに危機感を抱いた保守勢力による反撃として位置づけることもできる。彼らの主張は、「全教組(全国教職員労働組合)」などの「左派」勢力が、韓国の学校教育を「左傾化」させ、李承晩政権、朴正熙政権の「親日」的側面、反共独裁や経済開発の否定的な側面を強調することで、韓国の国家としての歴史的正統性を否定する歴史観を植えつけようとしていると批判するもので、歴史教科書の修正を求める運動や代案教科書を作成する運動などを展開する。また、大統領選挙で李明博候補を支持し、李明博政権の登場に一役買うことになったが、その一部は政権に参加したために、「ニューライト」運動自体は、市民運動としての自立性が問われている。