北朝鮮がアメリカ本土を射程距離に収めようと、核兵器の運搬手段となるミサイルの開発を進めることで、米朝間の軍事的緊張が激化している。北朝鮮は、1990年代当初は、日韓を射程に収めるスカッドやノドンの開発に取り組んだが、90年代後半以降、核兵器の小型化と共に、アメリカに対する核抑止力を確保するという目的を掲げ、ミサイルの射程距離の延長に取り組んできた。テポドン、ムスダン、火星型などである。さらに、敵から探知されないために移動式の発射台やSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)などの開発を続ける。また、準備に時間のかかる液体燃料から固体燃料への転換なども進める(北極星2型)。特に、2017年は、アメリカのトランプ政権の強硬発言に対抗するかのように、2月から11月にかけて毎月のようにミサイル発射を繰り返した。そして、11月29日、火星15号を発射し、アメリカ本土を射程に入れるミサイルを完成させたと発表した。ただし、大気圏再突入技術などの点で完成までには至っていないという見方もある。ところが、18年に入って平昌(ピョンチャン)オリンピックをきっかけとする南北接触の結果、北朝鮮は核ミサイル開発を凍結することを韓国特使に表明し、米朝交渉に前向きな姿勢を示しており、4月末の板門店(パンムンジョム)における南北首脳会談と、5月の米朝首脳会談の開催が合意されている。