2006年10月9日の第1回核実験、09年5月25日の第2回核実験、13年2月12日の第3回核実験以後しばらく核実験はなかったが、16年1月6日に第4回核実験、9月9日の北朝鮮建国記念日に第5回核実験が行われ、さらに17年9月3日に第6回核実験が実施された。第6回目の直後、北朝鮮はICBM(大陸間弾道ミサイル)搭載可能な水爆実験に成功したと発表した。そして同年11月の火星15号の発射とあわせて、アメリカ本土を射程に入れる核戦力を完成させたというのが北朝鮮の立場である。これに対して、国連安全保障理事会は、火星15号の発射からわずか1週間後に制裁決議を可決した。アメリカは、北朝鮮に対する石油の全面禁輸などの強硬措置を中国・ロシアに求めたが、中ロは北朝鮮に対する石油輸出に上限を設けることなどを受け入れることで妥協を図った。石油供給などを含んだ効果的な制裁実施に一歩踏み出した格好であり、北朝鮮は今後も核実験やミサイル発射を繰り返せば、国家の存立に直接影響を及ぼしかねない制裁の強化に直面することになる。ところが、18年に平昌(ピョンチャン)オリンピックをきっかけとする南北接触の結果、北朝鮮は、軍事的脅威の解消と体制の安全保証を条件とする非核化受け入れを表明し、4月の南北首脳会談と5月の米朝首脳会談開催にも合意した。北朝鮮が非核化に向けた意思を実行に移すかどうか注視する必要がある。