東南アジア諸国連合(ASEAN)が、アジア太平洋地域の安全保障の枠組みとして設置した政府間協議。1994年にバンコクで第1回閣僚会議が開催された。2016年3月現在ASEAN加盟国と日本、中国、韓国、アメリカ、ロシア、北朝鮮、EU(欧州連合)など26カ国+1機構が参加、ASEAN外相会議の議長国がARF議長も兼任する。同地域の安定と発展には平和な環境づくりが不可欠だとの認識から、冷戦後の全ヨーロッパで、政治・経済・環境・人権などを含む包括的安全保障に取り組む欧州安全保障協力機構(OSCE)のアジア版を目指して発足。対話と協力の積み重ねによる参加国間の信頼醸成を経て、紛争を未然に防ぐ予防外交の進展、紛争へのアプローチの充実と、段階的に安全保障環境を向上させることを目的とする。近年は中国やベトナム、フィリピンなど多くの参加国が対立している南シナ海の領有権問題が焦点になっている。15年8月、クアラルンプールで開かれた第22回閣僚会議では、中国による岩礁の埋め立てや拠点構築(→「スプラトリー諸島(南沙諸島)の人工島」)について、アメリカのケリー国務長官が(1)埋め立て、(2)施設建設、(3)攻撃的な行動、に対する「3つの停止」を提案。日本も「現状を一方的に変更して地域の緊張を招く行為の凍結」を関係国に提案したが、中国は応じず、議長声明は「各国の懸念に留意する」にとどまった。