2015年11月8日にミャンマーで行われた民主化後、初の総選挙。アウンサンスーチー率いる国民民主連盟(NLD)が、国会上下院(定数664議席)のうち、390議席を獲得して大勝した。議会には選挙によらない軍人枠議席が166議席(25%)あるが、それを含めても過半数を占める結果となった。新議会が3人の副大統領を決め、その中の1人を大統領に選出する予定で、NLDの候補が大統領に選出されることが確実になった。過去の選挙では敗北を認めない軍部が武力で民主化勢力を弾圧した経緯があるため、アウンサンスーチー党首は勝利の後、軍政トップだったタンシュエ元上級大将の家族と面会して、軍との和解を求めた。またテインセイン大統領(→「テインセイン政権(ミャンマー)」)や国軍のミンアウンフライン最高司令官とも会談し、円滑に政権の移譲を進めることで合意した。軍事政権が定めたミャンマー憲法では、外国人の家族がいるスーチーは大統領になることができず、国防、内務など治安関係の主要3閣僚の任命権は国軍最高司令官が握ったままだ。NLDは現行憲法の改正や条項の凍結を求めていく方針だが、新政権が成立した後も、国軍との緊張関係は続きそうだ。16年3月15日、ミャンマー国会は、スーチー側近のティンチョーを大統領に選出した。