2014年7月に行われた大統領選挙で生まれたインドネシアの政権。当選したジョコ・ウィドド・ジャカルタ特別州知事は、対立候補のプラボウォ・スビヤント元陸軍戦略予備軍司令官に僅差(きんさ)で勝利した。プラボウォ候補は異議を申し立てたが、憲法裁判所は棄却した。ジョコは10月20日、ユドヨノ大統領(→「ユドヨノ政権(インドネシア)」)の後継として第7代大統領に就任し、円滑な政権交代を実現した。ジョコはジャワ島中部の貧しい大工の家に生まれ、家具輸出業を営んで地元の市長に当選した。歴代の大統領はエリート軍人や名門一族の出身者だったが、ジョコは12年にジャカルタ特別州知事に当選してからも「庶民派」として高い人気を集めてきた。新政権は、低所得者層への医療・教育政策の充実による「格差是正」を政策の看板に掲げる。しかし、議会で与党連合は過半数に届かず、11月にはガソリンなど燃料価格の引き上げも実施した。外交では、就任演説で太平洋とインド洋を結ぶ同国の戦略的位置を強調して、インドネシアを「海洋国家」として復活させると訴えた。アメリカ主導の環太平洋経済連携協定(TPP→「東南アジアとTPP」)への加盟にも意欲を示している。