国民会議派とインド人民党はインドの代表的な全国政党であるが、総選挙(連邦下院選挙)での両党の得票率は、あわせて50%程度に過ぎず、「二大政党制」はインドには該当しない。残りの得票の多くは、一州から数州に影響力が限られる、いわゆる「地域政党」が占めている。タミル・ナードゥ州のドラヴィダ進歩同盟、同党から分離したアンナー・ドラヴィダ進歩同盟、アーンドラ・プラデシュ州のテルグ・デーサム党、マハーラーシュトラのシヴ・セーナー、西ベンガルの全インド草の根会議派、アッサムのアホム人民同盟などが代表的な地域政党である。1960年代後半以降、地域政党はいくつかの州で会議派から政権を奪うまでに成長した。また80年代末に会議派の一党優位体制が崩壊し、中央で絶対多数を占める政党が消滅すると、会議派やインド人民党を軸とする連立政権の形成や、外資導入や工業用地の収用など、重要な政策の決定に、地域政党は大きな役割を果たすようになった。また、インド共産党(マルクス主義)をはじめとする左翼政党も、ケーララ州、西ベンガル州、トリプラ州など、影響力が数州に局限されている点で地域政党と似た立場にある。なかでも西ベンガル州の左翼政権は77年以来安定的な支配を続けたが、土地収用政策の失敗で、2011年5月、草の根会議派と会議派の連合に政権を明け渡した。